透明な孤独を震わせてあなたは笑った。
その笑顔が忘れられない。
細い声が忘れられない。
いつも胸を締め付けるだけ。
悲しいだけなのに、なぜか。
もう一度だけ、あなたに会いたくなるのです。
遠い昔のようで。
でも全然近い過去。
二人の間にあったのは憎しみと。
互いを牽制し合う寂しい自己愛の心だけ。
たったそれだけの繋がりで。
一人になりたくない私たちは、無意味に一緒の時を過ごした。
嫌な過去。
プライドをズタズタに裂くような。
おぞましくやり切れない切ない過去。
でもね。
今は痛くても、いつかいい思い出になるとわかっているから。
だから余計に悲しいの。
決して綺麗なものじゃなかった。
殺してやりたいくらいの憎悪が、そこには確かにあったんだ。
だから私は、『思い出』にはしないでおこう。
あの時の気持ちを忘れないために。
ただガラス細工のような繊細な箱に閉じ込めて。
それを砕いてしか思い出せないように。
はかない音と共に飛び散るガラスの破片に。
指を傷つけられて、血のにじむ思いを伴ってしか思い出せないように。
あなたをしまっておく。
あの光るような、透明な孤独と共に……。