黒木両の物語-2-

☆ホトケノザ★  2006-07-12投稿
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女の子は顔を全面を使ってニコニコ笑っている。髪が腰まで伸びており、色は、鮮やかな薄いパープルで染まっていた。まるっきり少女にしか見えない小さな姿には、何故か黒いスーツが似合っていた。
俺は呆然と今おこっている状況を半ば回っていない頭をつかい、判断しようとしとした。すると女の子はニコニコ顔からおもいっきり心配した顔になった。眉毛をハの字に曲げ、目を不審そうにキョロキョロと俺の顔をのぞいてくる。俺は思わず一歩足を引いた。あんなに女の人に近付かれたのは初めてだった。…だといっても少女だが…何か言おうと口を開けようとすると、突然少女が喋り始めた。「何て顔をしているんですかぁ〜!?ぐあいの悪いのですかぁ〜!!た、たいへんだぁ〜!!早くお医者さんに〜!!」少女が、そら大変だという顔して俺の腕を掴んできた。とても小さな手だった。ちょと躊躇した自分を恥じながら、多分電話をくれた人だと思う少女に的確に伝えた。「ちょ…。だ、だ、大丈夫だってば!!…は、は、は、離してよ〜!!」…すこし的確じゃなかったような気がするがちゃんと伝わったはずだ。俺の腕を掴みながら、ずんずんと部屋をわたっていた少女は急に立ち止まり、俺の顔をまじまじとまたのぞいてきた。「ほ、ほんとにほんとに大丈夫なんですかぁ〜?」
少女は一生懸命背伸びをして俺のオデコに、…その小さな手を当ててきた。「むむむ〜!!」となにかうなっている。ちょと可愛い…。…別にそういう性癖を持っていないけど、何か妹が兄の為にお節介をしているような…なんかむずがゆい気持ちだ。「……はい。本当にお熱はないようですね〜!!良かったです〜!!」
また少女は顔いっぱい使って笑顔を作った。
「でも凄い顔をしてましたよぉ〜?まるで徳川の埋蔵金を思いがけない所で見つけたのに実はただのメッキで造られた偽物ででも本当は本物だったということを新聞の1面でみいつけた顔でしたよぉ〜!!」
ぐっと両手の拳を顎の下に持ってきて、困惑した目をしながら意味の分からない例え話をつたえてきた。
一瞬部屋で不自然な静けさが過ぎる。俺は固まっていたが、少女はさも関係無いような顔して、またもや俺の腕を掴んでくる。「さぁ、黒木両君〜!!学校行きましょうよ〜!!」少女の髪が紫色に光だした。俺は良く分かっていなかったが、ここから出て行かされることはなんとなくわかった。
「ま、ま、待て!!」



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