ダラス 『大統領暗殺』
『我々はジョンソン大統領を暗殺する。』
ボイラー室にある管理事務室で、黒幕No.2の男はブラフマンにそう告げた。
ブラフマンは目を閉じて少し俯く。
『各方面に同士が散らばっている。ホワイトリカーというバーに集めるから君はバーテンダーを装って情報を渡してくれ。』
『何故大統領を?』
黒幕は笑顔でこう答えた。
『ジェファーソン上院議院
レンブラント国防長官
サリエリCIA長官
ナディルFBIロシア諜報部長
ジョン・パーカー(映画俳優)
レセミー・ブラウン(ミュージシャン)
ミッキー・メイ(エレック社CEO)』
『大統領に消されたんですか。』
『そうだ。しかし大儀があって消された者はまだましでね、レセミーブラウンなどは闇献金スキャンダルの火消しに使われたんだ。』
『レセミーにしては無様な幕ですな。彼の曲で【いつの日か君の苦しみが人の心を温める】という詩があります。もう少し声が通っていたらディランの再来と言われたかもしれない。』
ブラフマンは煙草に火をつけた。
『ところで私はエレック社のCEOをやられたおかげで8千万ドル消し飛ばされました。彼が何をやったので?』
黒幕は答えた。
『民主党の金庫番だったからね。しかしそれだけじゃない。国防総省専門のハッカーを雇ってまずい情報を仕入れていたそうだ。』
そして黒幕は続けた。
『君にも心得があるだろう。フォンテーヌブローで描いた油絵に細工があったな。パリの画商から麦藁帽子の絵を買ったよ。我々を試したようだが、どうかね。』
ブラフマンは顔色一つ変えずに煙草を揉み消すと、こう答えた。
『いいでしょう。貴方がたはどうやら本気のようだ。』
麦藁帽子の絵には下地にこう書いてあった。
【ジョンソン大統領 凶弾 2009】