三人の歌姫達は、浴衣からジャージに着替えて、三人のおネエマンズに歌と踊りを見せた。
愛とイッコーは、やんややんやと拍手をする。
カバちゃんは、｢さっきのトコもう一度見せて。ここのトコ｣と振り付けの一部をして見せた。
ナミエとアユミは、同時にお互いの顔を見合わせた。
｢やっぱりわかる？ドコが悪い？｣ナミエが聞いた。
｢んー、悪くは無いわよ。自分達だけで考えたの？スゴいわね…。アタシなら、その振りからなら、こうやって繋げるかなぁ｣そう言いながらカバちゃんは、実際にステップを踏みながら踊って見せた。
三人の歌姫達は、カバちゃんの振り付けを真似てみた。ナミエとアユミが再び顔を見合わせる。
｢スゴい！しっくりくる！スムーズに体が流れる。ありがとうカバちゃん！｣
ナミエが弾んだ声で言った。
｢どういたしまして。お安い御用よ。クミちゃん…？どうしたの？｣
クミは泣きそうな顔をしていた。愛もイッコーも、その場にいた全員が心配そうにクミを取り囲んだ。
｢嬉しいんです。ウチが言い出した事やけど皆して協力してくれて…。今も助けてもらって…もう、何かそれだけで涙が止まらん。何で、皆そんなに優しいん？｣と涙声でクミが言った。
｢皆、それぞれ今まで色々あったのよ…。乗り越えてきたの。人に励まされたりしてね。だから、今度は自分達が誰かを助ける番なの。そうやって、お互いに支えあって生きていくの。それが愛でしょ？｣
イッコーが優しく言った。
全員が頷く。クミは涙が止まらなかったが、顔をクシャクシャにしながらもしっかりと頭を下げて言った。
｢ありがとうございます｣
みんな、また頷いた。
｢もう一度温泉に入りましょう｣アユミが言った。
全員、そうね、と言いながら歩き出した。
｢もう、みんな仲間ね｣イッコーが言った。
｢でも、全員女湯に入るんですか？｣アユミが聞いた。
｢仲間だけどアタシ達オカマだしぃ｣とカバちゃんが自虐ネタを言った。全員、爆笑して愛を先頭にカバちゃんに向かって言った。
｢言うよねぇ〜｣
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