突然、辺りに響き渡った悲鳴が沈黙を破った――
『ユ‥ユカ‥‥?!今日は家で寝ている筈じゃ‥‥。』
呟いたあたしが、ユカの目に留まるコトはなかった。
ユカは、その場に崩れ落ちた自分の彼氏の上体を起こし、抱き寄せた。
『聖人!!ひどい!!何よっっ!!
ヒロキが何をしたって言うのよ!!』
キッ―ー‐
ユカが聖人を睨みつける。
冷たい視線で、その場に崩れ落ちた森宮を、黙って見つめていた聖人は、
その視線を、今度はゆっくりとユカの方へ向けた。
『秋田谷。そいつはお前の思っている様なヤツじゃない。
目を覚ませ。
そいつは、とんでもねぇイカレ野郎だ。』
クールな視線で話す、その落ち着いた口調にストレートな言葉が、ユカを更に感情的にさせた。
『‥‥な‥何言ってるのよ!!
イカレ野郎は聖人じゃん?!
何よ‥‥聖人なんて人のコト言う資格ないじゃん?!
いつもいつもカッコ良くて、オイシイトコだけ持っていかないでよ!!
カッコつけないでよっっ!!
聖人のコトを好きだって女のコの気持ち、考えたコトある?!
聖人は知らないかもしれないケド、聖人のファンは、たくさんいるのよっっ!!
奈央と付き合う様になってから、陰で泣いてる女のコもたくさんいるのよっっ!!
何よ‥‥ヒロキのコト言えないじゃん。
だから聖人は、ヒロキのコト、とやかく言う資格なんてないのよ!!』
すっかり取り乱していたユカの言葉を、
聖人は何も言わずに黙って聞いていた。
『ユカ‥‥。ユカは、それでいいの?!今のままの関係でいいの?!森宮さんとのコト‥‥‥。』
思わずそう叫んでいた――
ユカの気持ちを――
全然分かっていなかったのは、あたし――
『もういいからほっといてよっっ!!
奈央、聖人と2人でどこかへ行ってよっっ!!
あたしとヒロキのコトは、もうほっといてよっっ!!
奈央にあたしの気持ちが分かる?!
分かるワケないじゃん?!
何よ‥‥悲劇のヒロインぶって、結局は1番欲しいモノ‥手に入れてるじゃん?!』
そんなあたしが――
えらそうなコト――
言えるワケないよね――