『ごめん‥‥。ごめんね‥‥ユカ‥‥。』
あたしは――
ユカを傷つけていた――
こんなにも深く――
深く、
傷つけていたんだ――
そう思ったら――
涙が溢れてきた――
『謝らなくていいゼ、奈央。』
そのトキ、
聖人があたしに向かって言った。
そして、
まだその場に座り込んだままの、森宮の側に寄り添っていたユカが怪訝そうに、こちらを見た。
『秋田谷。お前が森宮と付き合うのは勝手だが、俺達は本当にお前のコトを思って言ってるんだ。
それだけは覚えておいてくれ。
奈央、もう行くゼ。』
グイッッ――
聖人は、それだけ言うと、あたしの手を、少し強引に引いた。
聖人の大きな手に引かれ――
あたしは少し後ろを歩く――
その間、ずっと無言だった聖人は――
あたしの家の前に来るまで――
ずっと、
ずっと――
無言だった――
『‥‥森宮が言ったコトは気にするな。
オマエには―――』
聖人は、そこまで言いかけたところで後ろを振り返り、
あたしの顔を、じっと見つめた。
『―――いつでも俺が付いてるってコトを忘れんな。』
嬉しかった――
本当に嬉しかった――
あたしは大好きなヒトに、
こんなにも思ってもらえて幸せモノだって思った――
なのに、
ユカのコトが心配だったあたしは、
その日から、
心が晴れずにずっとモヤモヤしている気持ちのまま、
毎日を過ごすコトになるなんて、
このトキは、全然思ってもいなかったんだ――