奈央と出会えたから。<350>

麻呂  2009-04-22投稿
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『ごめん‥‥。ごめんね‥‥ユカ‥‥。』



あたしは――



ユカを傷つけていた――



こんなにも深く――


深く、



傷つけていたんだ――



そう思ったら――



涙が溢れてきた――




『謝らなくていいゼ、奈央。』



そのトキ、



聖人があたしに向かって言った。



そして、



まだその場に座り込んだままの、森宮の側に寄り添っていたユカが怪訝そうに、こちらを見た。



『秋田谷。お前が森宮と付き合うのは勝手だが、俺達は本当にお前のコトを思って言ってるんだ。

それだけは覚えておいてくれ。

奈央、もう行くゼ。』



グイッッ――



聖人は、それだけ言うと、あたしの手を、少し強引に引いた。



聖人の大きな手に引かれ――



あたしは少し後ろを歩く――



その間、ずっと無言だった聖人は――



あたしの家の前に来るまで――



ずっと、


ずっと――



無言だった――





『‥‥森宮が言ったコトは気にするな。
オマエには―――』



聖人は、そこまで言いかけたところで後ろを振り返り、



あたしの顔を、じっと見つめた。



『―――いつでも俺が付いてるってコトを忘れんな。』



嬉しかった――



本当に嬉しかった――



あたしは大好きなヒトに、



こんなにも思ってもらえて幸せモノだって思った――



なのに、



ユカのコトが心配だったあたしは、



その日から、



心が晴れずにずっとモヤモヤしている気持ちのまま、



毎日を過ごすコトになるなんて、



このトキは、全然思ってもいなかったんだ――

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