ねぇ…大好きなのに。

春樹  2009-04-22投稿
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私の電話が春樹に繋がった。

電話に直ぐ出た春樹。

「もしもし」

久しぶりに聞く春樹の声。

「なに?」

私は喜びと緊張感を隠しながら、電話越しの春樹に聞いた。

「お前今日学校?」

春樹の質問は、いつも遠回しだった。

「そうだよ」

私が答える。

「じゃぁ、遊ぼうよ」

「だから、学校だってば」

「え?お前行きたいの?」

「は?行かなきゃいけないの!」

「じゃぁ家きてね」

そして、電話は切れた。

私は、春樹に逢いたかった。

だから、バイト先を出ると急いで春樹の家に向かった。

そしてもうすぐ春樹の家が見えて来る頃、私は春樹に電話をした。

「もう着くよ」

私は面倒臭そうなふりをする。

「解った」

春樹は、それだけ言って電話を切った。

春樹の家に着くと、春樹の態度は冷たい。

それでも春樹と2人で居る時、私の心は、いつも穏やかになる。

それが、心地良かった。

その日春樹も私もやり直す事は、口にしなかった。

春樹は無口な人で、どんな事でも直ぐに表現しない人だった。

でも優しくて、解りやすい人だった。

その日私は、すごく幸せな気持ちのまま帰宅した。

私の顔から、笑みが絶え間無く溢れていた。

次の約束は無かった。

絶対また逢えると信じて、春樹からの電話を待ちながら、毎日を過ごしていた。



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