思い出の足跡(41)

優風  2009-04-23投稿
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・ラーメンを食べ終えてからも剛は相槌を打ちながら僕の話しに真摯な面持ちで耳を傾けた。

「恋愛感情があった事から自意識過剰になってちゃんと会話も出来ないし、おまけに小学生で年下を好きになるのは異例な事だって自分の中にそういった固定観念もあったし後、皆からロリコンとか言われてからかわれるんじゃないかって思うと誰にも相談出来なかった」
「確かに皆、ちゃかしただろうなぁ。俺が詩織と写真うつす時廊下に一杯人が集まってたもんな。でも、やっぱり人を好きになるのに年齢は関係ないよ。例え小学生だったとしても」
そう言った後、剛は屋台の店主に水を頼んだ。

「で、どするの?この二股関係を。俺もその場にいて実際に見た訳じゃないから話しを聞いて客観的にしか意見する事しか出来ないけかどこのままズルズル続けてもいずれお前だけじゃなく二人の彼女も深く傷つくと思うよ。別れ話しをするのも気が重たいだろうけどさ」
「会社の先輩から紹介された娘と別れて卒業記念写真の娘と真剣に付き合うつもりでいる」

吸っていたたばこをもみ消しながら言った。

・“ここは俺が払うよ”僕はそう言って店主にラーメン代を払って屋台を出た。

「もうどちらか決まってるなら後は別れるタイミングだな。焦っても仕方ないけど出来るだけ早い方がいいと思う」

僕も“分かってる”と言って小さく頷き、それから“剛の行動に刺激を受けて言う事が出来たんだ。ありがとう”と礼を言った。
「俺、今の彼女と結婚しようって考えてる。結婚式呼ぶから必ず来いよ」

そう言って連絡先を交換してから“二兎を追うもの一兎を得ずだぞ”と、言って剛は背を向け片手を挙げて去って行った。

・月日が代わり四月を迎えた。一日はエイプルフールだ。今日は舞が昼から仕事という事から“仕事が終わったら一緒に飯を食おう”とメールで連絡したら“いいよ”と返事が返ってきた。

・午後九時半過ぎに仕事を切り上げ待ち合わせ場所のファミレスに向かった。舞は先に来ていた。

「待った?」
「ううん、今来たとこ」

僕達は食事をしながら他愛のない世間話しをした。それから僕はタイミングを見計らって“別れてほしい”と告げた。一瞬、嘘をつかれたような顔をした舞だったがすぐに笑って、
「エイプリルフールだからって冗談きついよ」

と、言ってきた。僕は、

「冗談じゃなくて本気だ」

と、真摯な眼差しで舞を見て言った。



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