永遠の物語【2】

夏姫  2009-04-23投稿
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〜〜第一章〜〜

「おーい、ユアン!一人でどこ行くんだよ」

ユアン・アスラエルは、背後に視線をめぐらした。

そこには、ユアンの親友クリス・セラインが息を切らしながら走っていた。

「何だ、いきなり。別にどこにも行かないが…」

そう言って苦笑いしながらクリスを見る。

「だってさ、ユアンがこの時間に歩いてるなんて珍しいから…」

クリスは紅い唇を突き出した。

「そうか?最近はよく歩いているが」

「いや、絶対何かある!」

そう言われ、うっすらと微笑むユアン。

その灰色の目は優しげだった。

「本当に大したことじゃないんだ。ただ、森に薬草をとりに行こうと思って」

「な〜んだ。そんなことかよ」

「だから、大したことじゃないと言っただろう?」

がっくりと肩を落とすクリスを見て、困ったように辺りを見渡した。

「クリスも行くか?」

そう尋ねた途端、クリスは金の目を輝かせてユアンを見た。

「俺も行っていいのか!?」

「本当はそのつもりで後を追ってきたんだろ?」

からかうような視線に、クリスは豪快に笑った。

「さっすが!よくわかってんじゃん」

ユアンの肩をバシバシ叩く。

「お前はわかりやすいからな」

思わぬ痛みに顔をしかめながら言った。

「よ〜し、森に行くか!」

そう言って駆け出すクリスを、ユアンは笑いながら見つめた。

真昼の日差しが風を伴って優しくそよぐ。

ほっと落ち着くような、そんなのどかな風景が、誰もが忘れてしまいがちな安心する空間がこの村にはあった。

そしてそれは、ユアンの小さな誇りと、かすかな尊敬の念でもある。



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