セピアカラー(45)

優風  2009-04-24投稿
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・トイレから戻ると剛はビールを注文した。ついでに僕もウーロン茶を頼んだ。吐くまではいかなかったがけっこう酔いが回っていた。

「誰かと誰かがくっついたら誰かが傷つくのが恋愛の法則なんだよ」

串カツを食べながら剛は言った。僕も“そうだな”と頷いた。

・「でも、まさか小六で年下の娘を好きだったとはなぁ」
「お互い様だろ。俺だって剛が詩織の事を好きだって聞かされた時は驚いたよ」
そう言ってから二人で顔を見合わせて笑った。

「ちょっとは元気になったじゃないか」
「お陰さまで」

確かに剛に話しを聞いてもらって少しは楽になったみたいだった。

「その二つ下の娘、今の彼女だけどさ。いつ好きになったんだ?」
「あれだけ真面目な顔をして耳を傾けてたのに聞いてなかったのかよ」
「あっ、そうだっけ!?大分、酔ってるな」
「もう一度言うぞ。恋愛感情に気づいたのは少し肌寒くなってきた九月の後半だよ」
「あぁ、言ってたな。そうだ、そうだ」
「お前はいつから好きになったんだ、詩織の事?」
「俺も六年の時の二学期だよ。貴士と同じ頃だ」

自分のグラスに自分でビールを注ぎなら答えた?

「今の彼女とはどこで出会ったんだ」

そう聞くと剛は人差し指を下に向けた。

「ここか!?コンパとか?」
「じゃなくてここでアルバイトで働いてるんだよ。あの茶髪のショートヘアーの娘がそうなんだ」

剛が教えてくれた方を見ると色白で細い目をしていて丸い顔立ちの娘だった。
「かわいいじゃん。よくあんな娘ゲットしたな」
「苦労したんだぜ。毎晩のように通いつめてさ。友達とうしてプライベートでも会って連絡先は交換したけど一方通行なんだ。で、昨年の終わり頃誕生日だったから真っ赤なバラの花束を持って店の外で待ってたんだ、スーツ着て。それから花束を渡す時に付き合ってくれって言ってOKをもらって付き合いだしたんだ」
「聞いてたらなんかプロポーズみたいだな」
「それ、告白した時に彼女からも言われたよ。お前の彼女誕生日はいつだ?」
「この間の七日が誕生日だったんだ。六日の夜は残業で十時半過ぎまで仕事しててさ。大学時代の友人に頼んでケーキと花束を用意してもらってそれを持って彼女のアパートに足速で向かったよ。そしたら着いたのが丁度“0”時でさ。それから、彼女のアパートで誕生日を祝ったんだ。

そう言ってから残っていたウーロン茶を一気に飲み干した。

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