わたし、2歳。
わたしが住んでたのはド田舎のM市。
デパートなし。遊園地なし。コンビニなし。飲み屋なし。
雪の中、真っ白な雪のカレーライス作って、ビデオカメラ片手のパパによちよち近付いてく。
「これ、カレーライスだよ。これ、カレーライスだよ」
夫婦の初めての愛娘。
なんて可愛らしいんだろう。
パパは1時間でも2時間でも休みなく愛娘をビデオにおさめる。
あとで男の本領を発揮して、ビデオにミュージックをかぶせる。
1本。2本。3本…。
自分と、自分の愛する人の遺伝子が半分ずつ注入された宝。
親になって初めて解るこの気持ち、わたしにはまだまだ解らないまま。
隣に住んでた男の子。
名前は忘れちゃった…昌平クンだったかな?
仲良しだったけど、昌平くんに1回だけ叩かれた右手の甲にできた赤い点。
なぜか何十年たった今もまだ消えない。
それが運命のように思えて、わたしと昌平クンをつなぐ運命の赤い糸がそこからニョロニョロ出てくるんじゃないかって、ずっと思ってた。
運命の人って本当にいるのかな?
どうやったら見付かる?
街ですれちがったら判るんだろうか…