約束通り貴方からの電話
『飲み会終わったよ』と酔っている様な甘えた声
困った事に今日は仕事を早く切り上げられそうもない
『まだ終われそうにない』と伝えるとそれでも待ってると言う
相当酔っているのか
それともそれが貴方の本心なのか
しばらくして貴方がもう一人の職場の人と事務所に戻って来た
『二次会に行きたくなかったから逃げて来た』ともう一人の人が言った
貴方は黙っているけどかなり酔っているのは一目瞭然
二人ともお酒臭い
だから思わず笑った
貴方は自分の席に着くと顔を俯せにして寝た
その姿を横目にひたすら仕事をした
会いに来てくれた事が素直に嬉しかった
それから一時間半程経って終わった
流れで残っている人でラーメンを食べて帰ろうという話になった
貴方と帰るつもりだったけど断りは出来ない
着替えを終わらせてもう一度戻った
貴方は相変わらず寝ている
貴方の肩を揺さぶってみても起きない
何度も名前を詠んでもどんなに叩いても起きない
まさかそんなに爆睡しているとは思わなかった
皆で起こしてやっと少し目を開ける
『気分悪い』と弱い声
ただの酔っ払い
『もう皆出ますけど立てますか』と聞くと『無理』と言った
皆は出ようとしているけど貴方を放ってはおけない
このままにしていたら貴方は多分朝まで寝続ける
『じゃあ食べてからまた戻って来るから』と別の男性が言ってはいたけど心配でそれどころではなかった
『どうしよう』と考える暇もなく
『電車まで送り届けます』と言ってしまった
『何で?』と言いた気な周りの目
もうどうでも良くなった
『心配ですから』と言うと
『大丈夫よ、また戻るから』と言われる
それを『私がちゃんと送ります』と返す
ムキになったら駄目だと何とか落ち着いた態度を取る
『じゃあお願いね』と諦め皆は出て行った
思い返せばおかしい
貴方以外の人だったら他の人に任せているだろう
貴方だったからそうした
多分他の人達もそれに気付いている
私は馬鹿だ
自分から『この人が好きです』と言ってしまった様なもの
少し後悔はした
でも貴方が俯せのまま『ごめんね』と言うから
やっぱり私は貴方を放っておけないと思った