サイ=アラン(第2世)?-2

サイ=ノート  2009-04-25投稿
閲覧数[397] 良い投票[0] 悪い投票[0]

 しかし、この日のサイは一般を心得ない釣りに時間を潰すのを潔しとしなかった。研究室から食器を出しに出てくることも無かった。レイドの呼びかけに答えることも無かった。根を詰め過ぎて倒れた訳ではない、空気を読むことをレイドに無言で頼んでいる訳でも無い。純粋に聞こえてなかったのだ。トロイモクバの脅威は創世の天才・サイをここまで追い詰めていたのだ。
 レイドは空気を読めない男ではない。むしろこの二人の間において、レイド程空気を読める男もいないだろう。レイドが今日サイを一般を心得ない釣りに誘ったのはそれについて検討しようと思ってのことだったのだ。先程私は何故釣りなのか解らないと言ったが、その理由は人目につかないところで二人きりで話せるからなのだろうと予想できる。前言の通りエターナル大学の状況からどこに盗聴器があるかもしれないからだ。
 平生のサイがこの程度のこと解らないはずがない。つまり、本当に追い込まれている様子が伺える。ブラッドレイの期待に応えることがそこまで大切かと考えてしまうほど、この日のサイは自分を追い詰めていた。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 サイ=ノート 」さんの小説

もっと見る

ミステリの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ