羊伯爵と奇異七変化

ShouSheep  2009-04-25投稿
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――言葉には魂が宿る――
それを人は言霊という...

――また、奇異な事象にこそ誠が宿る――
それを人は迷信という...


これは、そんな迷信から生まれた偽とも真とも取れない物語である。


ある真昼の事である。いつも、羊伯爵と呼ばれている剽軽な男は軽い語り口でヤンキー達に諭した
「君達は霊柩車の金箔を剥がしているようようだけれど....だったら君達は霊柩車とすれ違う際に親指を立てられるかい?」と
意味の分からない発言にヤンキー達は憤慨し伯爵に殴り掛かろうとする
「おわっ!危ないな君達?」
それを飄々と鼻先で交す
「まぁ、君達みたいな子悪党には無理だろけどね」
伯爵はこう言い放って三日月の様な満面の笑みを浮かべてヤンキー達から撤退したのであった。


当然、ヤンキー達は怒りが収まらず霊柩車荒らしの際に親指を立てた。
すると、空から硝子の破片が降ってくる。無論、周りのアパートやマンションには窓硝子がそんかいした形跡はない...。
「うわぁっ!!」
ヤンキーの一人の親指には神経の深くまで硝子が突き刺さり既に痛覚すら感じない様子であった。
「ぉい?!大丈夫か!?」
心配して駆け寄ったヤンキーの指には唐突に鴉の群れが止まる。
「な、何だよぉ?!何なんだよぉ?!」
無数の鴉は、その指を嘴で無情にも突っつき噛み千切る。
「ぎゃぁあああ」
ヤンキーの一人は骨まで抉れ顔面蒼白のままその場で倒れた。


「嗚呼、彼ら霊柩車を荒らしといて迷信知らなかったんだ?霊柩車とすれ違う際は親指隠せっていうのにね」
廃墟の最上階から彼らの断末魔を眺めている羊伯爵の目には何故か一筋の雫が光っていた。



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