1.絶望
伊井 香 は部屋の中で椅子に座っていた…
ボロボロの椅子だ…
今にも脚が折れてしまいそうな椅子に縛られて座っていた…
部屋も直ぐに崩れてしまいそうな部屋だ…
部屋って言っても広い部屋だ…
30畳は有りそうな広さだ…
キッチンもテーブルもテレビも無い…何も無い部屋だ…
部屋と言うより物置と言った方が相応しい…
そんな所で伊井 香 は縛られていた…
その縛り方も、お粗末な縛り方で伊井 香 なら簡単に抜けられるのだが…伊井 香 は、そんな事しなかった…って言うより、する気がなかったのだ…轟刑部の裏切りにショックで何もする気がなかったのだ…
轟刑部「クソッ!あいつら!遅いじゃねーか!」
轟刑部は吐き捨てるように呟いた!…
人間って言うのは変わると、こうも変わってしまうのか…警察の刑部だった正義の男が自分の欲の為に極悪人に変わってしまう…
刑部だった姿は、どこにも微塵も無い…
轟刑部「本当に何やってんだ!」
(キーッ!)
車が止まった!
車から降りて2人はドアを開けた!
牧刑事「待たせたな!」
牧刑事と小田 真理が部屋の中に入って来た!
轟刑部「本当に遅いじゃねーか!」
牧刑事「まさか轟刑部がデスクを5千万で買えって言って来た時にはビックリしたもんでね!」
轟刑部「うるせー!金は!5千万は持って来たんだろうな!」
牧刑事「ちゃんと持って来ましたよ!5千万なんて、はした金でデスクが手に入るなら安いもんでね!」
と言って5千万の入ったアタッシュケースを開けて見せた!