* * * * * *
数日後――
休んでいたユカが、やっと登校して来た。
あれから初めて顔を合わすコトになる。
あたしは、少し緊張していた。
何て話し掛けたらいいんだろう。
もし無視されたりしたらどうしよう。
こんなトキは、いつもあたしは弱気だ。
そして、そんな自分をつくづくイヤになってしまう瞬間でもある。
聖人は、あれからユカと森宮のコトを話題にしなかったから、
あたしは、そんな聖人を少し冷たいんじゃないのかなって思っていたケド、
とりあえずユカが登校してくれたコトにホッとした。
机の上にカバンを置き、席に着いたユカに、あたしはそっと近づき、声を掛けた。
『ユカ。おはよ。』
ドキドキドキドキ――
『‥‥あ‥奈央。おはよ。‥‥聖人は‥?!』
『いるよ。今、隣のクラスに行ってるケド、多分もう戻って来ると思う。』
『そう。この前のコト、あたし‥‥奈央と聖人に謝ろうと思って‥‥‥。』
ユカから意外な言葉を聞けたコトに、あたしは驚いたケド、それよりも嬉しさが先立った。
『オッス!!秋田谷!!』
ユカとあたしが話していると、隣のクラスへ行っていた聖人が戻って来た。
『聖人‥‥。この前はごめん‥‥。
あたし、ちょっと感情的になり過ぎたかなって思って‥‥。』
ユカは聖人に気付くと、直ぐに椅子から立ち上がってそう言った。
『おぅ。ここじゃなんだから、あそこ行こうゼ。』
あたし達は、3人で屋上へ向かい、そこで話すコトにした。
* * * * * *
『実はあたし、森宮と別れたんだ。』
屋上へ出るなり、ユカが先に切り出した。
『えっ?!ホントに?!』
突然のユカの衝撃的な告白に、あたしは動揺してしまった。
『‥‥森宮とは、もう2度と関わらない方がいい。
秋田谷、お前の為だ。』
聖人が言った。
『うん‥‥。分かってる。ありがとう‥‥聖人と奈央には感謝してる。
ホントはね、あたし気付いてたんだ。
あたしがヒロキの1番じゃないってコト。』
ユカの目が潤んでいたのは、決して気のせいではなかった。