それからの私は、ボロボロだった。
みんな一緒じゃんって決めつけた。
誰も信じられなくて、誰にもこのことは言わなかった。
(私なんて、結局そんな程度の存在なんじゃん)
学校にも、部活にも出たくなくって、ギリギリまで家に閉じこもった。
この世の全てが、無意味なものに思えてきた。
私にとって優司は、それくらい大切な存在だったのだ。
(私、これからどうすればいいの…)
太陽のない世界に取り残された私は、答えのない迷路をさ迷い続けた。
それから、三日後のことだった。
「…ん?メール?」
バイブ音に驚いて携帯を見ると、ピカピカと光っている。
「…誰?」
内心緊張しながら携帯を開いてみた。
「弘人…」
そこには、こうあった。
《…姫、大丈夫?最近かけて来ないから、心配だよ。…心の整理がつかないと思うから、落ち着いたらかけてきて》
弘人の優しさがこもったメールに、私はまた泣きたくなった。
〈ありがとう、弘人。多分、明日にはかけられると思うから〉
そう返信した。
《ホントに??姫はいーっも一人で無理するから、信じられない!…嘘つかなくたっていいんだよ》
(全部お見通しってわけ…)
私はため息をつきながら携帯をいじった。
〈ホントに大丈夫だし!ガキ扱いすんじゃねぇよ〉
最後に怒りマークを付け加える。
《分かったっ!だから怒らないで〜》
必死に謝る弘人の姿が思い浮かび、私は笑いそうになった。
(弘人って不思議…。落ち込んでたのが嘘みたい)
どことなく安心した気持ちになりながら、私は携帯を閉じた。
次の日から、私はまた学校に行くのが楽しくなった。
部活にもしっかりと出るようになった。
でも、相変わらず誰かを信じることはできなかった。
(まぁ、それは時間が解決してくれるよね…?)
それもこれも、全部弘人のおかげだった。
(弘人にお礼いわなきゃな)
そんな思いが、春の匂いに包まれていった。
―END―