11月30日午後5時10分
雨が降る夕暮れ五歳の昇太は膝を抱えて部屋の隅にいた。左目の横に青アザもある。
家には誰もいず、彼は淋しさの中で座っていた、目は虚ろ、表情は泣く様子もなく、ただ雨の音だけが響いている。昇太がここに座ってからもう一時間半が経っている、普通の子供であれば七時から始まるテレビ番組を楽しみにしている時間だ。
ふと、学校の作文の宿題を思い出し、居間に置いてある正方形のこたつに座った。週末の出来事を書くものだが、進む気配はなかった。
「また、母さんを怒らせてしまった…」声にもならない声で昇太はつぶやいていた