永遠の物語【4】

夏姫  2009-04-26投稿
閲覧数[516] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「…おい、ユアン!お前、なんつー物拾ってんだよ!?」

「…いや、そう言われても」

耳元で怒鳴るクリスにむかって眉をひそめながら、ユアンは呟いた。

「…とりあえず、中は見ない方が良さそうだな」

「えーっ、別にいいじやん!」

駄々をこねるクリスに、ユアンは静かに首を振った。

「駄目だ。もしも大事な物だったらどうする?」

厳しい顔をして言うものの、クリスは聞いていない。

「つーか、そんな大事な物がここに落ちてんのもおかしくねぇか!?」

「…確かにそうだが」

「んじゃー、いいじゃん」

十七歳という年齢にふさわしい笑みを浮かべるクリス。

だが、ユアンは頑として首を縦にはふらなかった。

「とりあえず、村長の元に届けよう。それからでもいいだろ?」

「…うーん。ユアンがそういうのなら…」

こうして、クリスを無理矢理納得させたユアンは、共に村へと帰っていった。


「…というわけなんですよ」

村長の元へと歩を進め、直接事のあらましを説明した。

「うーむ。一体どうしたものだろう」

村長は顎髭を触りながら唸った。

「実は俺達もどうしたらいいのか分からないんです」

「だから、中を見てみるべきなんだってば!」

クリスは興奮して机をバシバシと叩きながら言った。

「いや、だが、しかし…」

それでも村長は渋面を崩さなかった。

「それに、ホラ!中にこれの持ち主の名前が書いてあるかもしれないし!」

クリスはなおも食い下がる。

「…ふむ。クリスの言い分も最もだ」

村長はようやくクリスの意見を認めた。

「やったー!!」

目と同じ金の髪の青年は、身体中で喜びを表した。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 夏姫 」さんの小説

もっと見る

ファンタジーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ