「…おい、ユアン!お前、なんつー物拾ってんだよ!?」
「…いや、そう言われても」
耳元で怒鳴るクリスにむかって眉をひそめながら、ユアンは呟いた。
「…とりあえず、中は見ない方が良さそうだな」
「えーっ、別にいいじやん!」
駄々をこねるクリスに、ユアンは静かに首を振った。
「駄目だ。もしも大事な物だったらどうする?」
厳しい顔をして言うものの、クリスは聞いていない。
「つーか、そんな大事な物がここに落ちてんのもおかしくねぇか!?」
「…確かにそうだが」
「んじゃー、いいじゃん」
十七歳という年齢にふさわしい笑みを浮かべるクリス。
だが、ユアンは頑として首を縦にはふらなかった。
「とりあえず、村長の元に届けよう。それからでもいいだろ?」
「…うーん。ユアンがそういうのなら…」
こうして、クリスを無理矢理納得させたユアンは、共に村へと帰っていった。
「…というわけなんですよ」
村長の元へと歩を進め、直接事のあらましを説明した。
「うーむ。一体どうしたものだろう」
村長は顎髭を触りながら唸った。
「実は俺達もどうしたらいいのか分からないんです」
「だから、中を見てみるべきなんだってば!」
クリスは興奮して机をバシバシと叩きながら言った。
「いや、だが、しかし…」
それでも村長は渋面を崩さなかった。
「それに、ホラ!中にこれの持ち主の名前が書いてあるかもしれないし!」
クリスはなおも食い下がる。
「…ふむ。クリスの言い分も最もだ」
村長はようやくクリスの意見を認めた。
「やったー!!」
目と同じ金の髪の青年は、身体中で喜びを表した。