疑問の渦に巻かれ、隼人は混乱した。
「…っと。それでだ。俺に何の用があるんだ」
「そうそう、忘れるトコロだった」
ペロリと舌を出して照れ笑いを浮かべるルミ。
「お前なぁー。それ、一番肝心なところじゃんねぇのかよ」
呆れかえる隼人を尻目に、ルミは明るく笑った。
「ゴメンゴメン。でも、隼人が私のこと覚えてないって言うし…。はっきり言って、結構ショックだったんだからね!」
「分かった。俺が悪かったって」
隼人は両手を前に突き出して謝った。
「まぁいいわ。私がここに来た目的を教えてあげる。あなたが全部忘れているものとして話を進めるわね。
昔、この世界では大戦争があったの。こっちで言う、世界大戦なんかとは、比べものにならない位、酷いものだった。
その時、私とあなたは共に戦ったの。…もちろん、私達二人だけじゃない。もっと多くの同志がいたわ。
でも、彼らは一人、また一人と、傷つき、倒れていった。
はっきり言って、あの頃の人達がどれくらい今、この世にいるのかは、私にも分からないの。
それでね、ここからが本題なんだけれど…」
そこまで話して、ルミは大きく息を吸った。
「…何となく気づいているとは思うけど、私はこの世界の人間じゃないの。
地球からすごく遠く離れた惑星に住んでるの。もっと言えばあなたも…」
そこでルミは話を中断した。
「…つまり、俺はこの世界のもんじゃないと」
「それはちょっと違う。今はこの惑星の人よ、あなたは。
でも昔は違ったっていうか…。簡単に教えるとね、あなたや私は、宇宙の戦士なの。宇宙に存在する全ての生物とか、星々の秩序を守る役目を持っているの。
私達は、そういう宿命なの」
隼人はルミの話を黙って聞いていたが、話が途切れると大きく息をついた。
「…そこまでは分かった。んで、俺は一体どうすればいいんだ?何を救えばいい?」
隼人が真剣に聞いてくれたことが分かり、ルミはホッとした。
「…あるところに、危機が迫っているの。宇宙に存在する全ての物の生命がかかっている。
あなたには、それと戦って欲しいの」
「俺達二人で、か?」
「ううん、違う。実は、他の人にも声をかけているの。
皆、昔一緒に戦っていた人達よ」
「でも、俺みたいなのがいたって変わらないんじゃ…」
「そんなことない。むしろ、あなたがいなきゃだめなの」