世間一般でいう最近の恋愛の価値観はどうなのかわからない。
そう思い始めた20才の大学生翔吾のお話。
翔吾の出身は九州の鹿児島県で、高校2年生の時から付き合っていた麻紀と大学で離れ離れになって東京のT大学に通っている。
翔吾がT大学に入った理由は将来ある程度余裕のある収入を得るためだったが麻紀のことも考えて今年の就活は九州でしようと考えていた。が、麻紀とは学生の翔吾にとって月一度会うのが精一杯だったので知らない間にすれ違いが起きてしまった…。
翔吾と麻紀は結婚も視野に入れて付き合っていた。もちろんお互い相思相愛であると思っているはずだった…。
コトの発端は翔吾が2月始めに友達と旅行に入って麻紀と会う月に一度の大切な日をキャンセルした事から始まった。
「何でこの日帰れないの?」
「ごめん、友達と旅行に行かないといけなくなってしまって」
「じゃ勝手にしたら」
いつものケンカが少しきつくなっただけと翔吾は麻紀の怒りを静めるのに時間で解決出来ると思っていた。
2月に帰れなかった翔吾は麻紀と電話で仲直りして3月に会おうと約束して九州に10日間帰った。そして、3月のなかばに東京に戻って新入生気分で大学へ行かないと思っていた3日後に夕方ぐらいに麻紀から電話がかかってきた。まあ暇が出来たからかけてきたんだろうと思い携帯の通話ボタンを押した。
「話があるんだけど今大丈夫?」
「全然大丈夫!今暇だったから俺もかけようとしてたし」 「突然こんな事言うのは翔吾にものすごく悪い気がするけど別れてほしいの」 翔吾は頭の中で言われた言葉が全く理解出来なかった…。 「何でそういうこというの?」
「実は佳奈ちゃんに誘われて合コン行ったら好きな人が出来たの。本当にごめんなさい」
「会えない時間も多いし淋しい思いをさせてしまった俺が悪い。麻紀が好きになった人ならいいと思うし幸せになってくれ」
翔吾は何を言っていいかわからなくなって気持ちとは正反対の言葉を出してしまった。本当はなぜ合コンへ行った?とか浮気してたのに平然とよく会えたな?とかとがめたい気持ちが後から溢れだしたが彼女はもう別のスタートを切り出してしまった。