第五話 「銀行強盗日和」
一週間後。午後一時五十五分。タダノ銀行前。
「あ〜マジでやるの?」
と、天使はいかにもヤダオーラをだしながら言った。
「当たり前だろ。大丈夫だって絶対うまくいく」
俺は嫌がる天使を慰めた。
「…よし。行くぜ!」
俺と天使はタダノ銀行に入った。中には客に女性が二人、男性が五人いた。銀行に入った時点で天使は
ポケットからストップウォッチをスタートさせていた。
さあ作戦の開始だ。タイムリミットは三分。必ず銀行強盗を捕まえる。
俺はポケットから拳銃を出し発砲した。一瞬にして銀行内が静まり返る。
そして言った。
「静かにしろ!強盗だあ!」
〜五分後〜
タダノ銀行前にはコパン三兄弟がいた。言わずと知れたコパン三兄弟。コパン三兄弟は迅速かつ計算されつくした強盗で有名な銀行強盗だ。何故コパンか。むろん三兄弟ともコパンが大好きだからだ。
「いやあ。いい天気だ。まさに銀行強盗日和。今日も一丁やりますか」
コパン三兄弟の長男が言った。
「そうだな兄者。それにしてもさっきタダノ銀行を出た若者二人の内、片方に羽が生えてたような気がするんだが…」
そう言ったのは次男。集合する前銀行を見ていたら二人を見た。片方は平凡だがもう一人は何とも言えないけだるさの固まりみたいな奴だった。そいつの背中に羽があったような、ないような。
「気のせいだろう。さあ行こう兄者たち!」
三男は言った。その声を合図にコパン三兄弟はタダノ銀行に踊り入った。
中は女性二人、男性五人と少ない。しかし客の様子がおかしい。ぼーっとしている。さすがに銀行員は驚いていたがすぐに冷静になりあれ?っていう目になった。
「強盗だあ!金を出せ!」
長男は拳銃を発砲し、叫んだ。次男がバックを銀行員に投げる。
「これに金を入れろ!」
銀行員はカウンターにあった金を詰めはじめた。しかし予想以上にカウンターに金がばらまかれていた。そうばらまかれていた。
ウオオン!ウオオン!
そこでサイレンが聞こえた。コパン三兄弟は焦った。予想よりも警察がくるのが早過ぎる。おかしい。こんなの計算外だ。計算では金を詰め込んで逃げるまで四分。警察が来る頃にはとっくに逃げている。
「う、嘘だろ。警察来んの早くない?」