少しして痛みが薄れていったのか、それとも変になったのか、美里は放心状態の様に立ちすくんでいた。
右手で血が吹き出している指を握ってはいたが、足元へそれは滴り落ちていた
やがて足元に溜まり、徐々に広がったそれは、妙な形になっていく…
…それはやはり赤く、しっかりとした形をとどめているようで、どこかしらプヨプヨし、今にも‘ジャーッ’と、どこかに流れだしそうではあるが、じっくりと時間をかけて人の形をとどめていくようになった
助けを呼びたい衝動に駆られながら身体は動く気配もなく、おまけに声も出ない。
〔…あり得ない…
他から見て、自分は神経が病み、おかしいとされているが、これだけの血が出れば立っているのもおかしい。現実とは逆でますます正気になっている、少なくとも今は。 そして、これだけの事を考えられている…
…自分の身体を操られているのか … ? …昇 太 …に?〕
人の形をしたそれは こっちを向いて立ち上がった