孤(こ) 八

彰子  2009-04-29投稿
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少しして痛みが薄れていったのか、それとも変になったのか、美里は放心状態の様に立ちすくんでいた。

右手で血が吹き出している指を握ってはいたが、足元へそれは滴り落ちていた

やがて足元に溜まり、徐々に広がったそれは、妙な形になっていく…
 …それはやはり赤く、しっかりとした形をとどめているようで、どこかしらプヨプヨし、今にも‘ジャーッ’と、どこかに流れだしそうではあるが、じっくりと時間をかけて人の形をとどめていくようになった

 助けを呼びたい衝動に駆られながら身体は動く気配もなく、おまけに声も出ない。
 〔…あり得ない… 
他から見て、自分は神経が病み、おかしいとされているが、これだけの血が出れば立っているのもおかしい。現実とは逆でますます正気になっている、少なくとも今は。 そして、これだけの事を考えられている… 
 …自分の身体を操られているのか … ?      …昇 太  …に?〕

 人の形をしたそれは  こっちを向いて立ち上がった



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