ほんの些細なイタズラが
ひとつボタンを掛け違い
色んな想いが巡る。
少し事情を知っている私は桜の様に理沙にまっすぐに聞くことは出来なかった。
理沙は私を見た。
その目で理沙があれを見たんだとすぐわかった。
「私、圭ちゃんと一度だけキスした…って話。あれ違うの。」
理沙も真実を知っている。
「何が?」
「あれ罰ゲームだったの」
「えっ?…」
桜も言葉をなくした。
「本当は…まさくんが私にするはずだったんだけど…圭ちゃんが代わりに…」
理沙は苦しそうだった。
「そんな…だって…理沙は」
「私はバカだから圭ちゃんの気持ちなんだと思ってたんだけど…」
「だから中野が謝りに?」
「全てはそこから始まってるのよね?」
私も向き合う覚悟を決めて口を開いた。
桜は私の言葉の意味がわからずに混乱していたが、理沙は黙って頷いた。
「私も話さなきゃ…いけないことがあるの」
「千夏ちゃんまで何?えっ?頭痛くなってきた…」
ごめんね…桜。
辛かったよね…理沙。
「私久遠にキスされたの…」
桜は絶句した。
「千夏呼びに六組に行ったら…二人の姿見ちゃって」
理沙は申し訳なさそうにそう言った。