こちらを向いたそれは、 ″ビチョッ ビチョッ″と嫌な音をたてていた。
それが動く度、自分の身体から流れ出たものだと、自覚させられる様に、神経がピクピクし激痛が全身に流れる。
恐怖と激痛に倒れそうになりながら何とか耐えて立っていた
〔できる事なら今すぐ、 ここから飛び出し、誰かに助けてもらいたい…〕
が、部屋には鍵が付けられ、自分ではどうしようもない。監視カメラは…?色んな思いが頭をよぎるが…
…それは見透かした様に、ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべながら
「ココカラ 出ラレナイヨ」
と、じわじわ寄ってくる
「サァ カクレンボ シヨウヨ… 僕ガ オニダヨ」
美里は逆ってはいけない気がし、ガタガタ震える身体をやっとの思いで少しずつ動き始めた。
〔ここで隠れられる場所は布団の中か、ベッドの下〕
美里はベッドの上の布団に上がれる自信が無かったので、ベッドの下に潜る事にし、やっとの思いで、そこへたどり着いた。
「モゥ イイカイ?」
美里は恐怖を押さえながら声を絞り出し「… も ぅ い い …よ 」 と、なんとか答えた。
赤いそれは、しばらく 不気味な音をたて、歩いていた様子だったが、音はしなくなっていた。
〔これは何かの錯覚、……そう、やはり自分は神経の病気なんだ〕と何度も自分に言い聞かせた。
そんな事を心の中で必死で思いながら、しばらく恐怖からガタガタ震えていた美里だったが、静かになった気配で少しずつ自分を取り戻しつつあった。
その時ベッドの上から赤いそれはじわりと頭を垂れ、目が合った瞬間!
「…見ィツケタ!!」 と、ニヤッと笑った