好きと言えなくて…(15)

優風  2009-04-30投稿
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・冬休みも終わり、新学期が始まった。小学校最後の学期だ。小学校生活最後といった事から思い残す事はないようにしようと決めた僕だったが委員会でも廊下ですれ違ったりしてもやはり美香の顔をまともに見る事ができず、クリスマス会での暴露ゲームの事もあって本人の耳にもう既に届いてるんじゃないかと思うとより一層意識してしまい会話をする事もなく淡々と一ヶ月が過ぎた。

・二月に入り、また今度の集会では劇をしようという事に決まった。テーマは“虫歯予防”についてだ。主役は美香がする事に決定した。後は順番に配役が決まっていき、僕は舞台裏でナレーターを勤める事になった。

・集会前日、体育館のステージで予行練習が行われた。僕も少しつまりながらもなんとかナレーターをこなした。ステージに出て演技を見せるよりこっちの方がよっぽど気楽だと思った。練習中、美香に目を向けると僕と反対の袖口で五年生のもう一人の男子、“桐原修”とはしゃぐように会話をしていた。不思議とやきもちはなかったが正直、それを見て“うらやましいな”と思った。

・生徒会の進行により集会は順調に進み、僕達保険委員会の劇が始まった。ステージに姿を見せる事がなかったせいか思ったより落ち着いてナレーターをする事ができた。それから劇共々無事集会は終了した。

・教室に戻ると生徒会長の圭吾が、

「最初、声が震えていたけど途中から声も出てはきはきしていて抜群に良かったよ」

と、言ってきた。僕もそれを聞いて少し照れながら、笑顔で“サンキュー”と言った。そう言って圭吾が立ち去った後、谷川先生が教室に入ってきてすぐに社会の授業が始まった。ナレーターだけで姿は見せなかったが主役を演じていた美香の姿を見て僕が美香の事を好きだと知っているメンバーは“どんな気持ちで劇を見てたんだろう”と考えるととても授業には集中できず上の空だった。



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