″1″のボタンを祈る思いで押し、自分の鼓動を抑えつつ、少し安堵の息も混じっている。
凄い衝撃があり、エレベーターはガクンと停まった
美里はあちこちのボタンを押してみたが、無駄だった…
非常用の電灯が何気に中を映し出している
‘ビチョッ ビチョッ’と、足音が響き、自分の方へ近づいてくる…
美里は辺りをゆっくりと見渡した。 足元…背後… …何も無かった… しかし、それはやっぱり近づいてくる…
ふと見上げた時、美里は目を剥き、大きく口を開けるが恐怖で声が出ない
エレベーターの天井から、赤いそれは、こっちを覗いていた。
「…カクレンボ 下手ダ ネ ダ カ ラ ココカラ 出ラレナイッテ 言ッタノニ …」
そうニヤニヤ笑いながら美里の頭を暗闇から両手で掴み、引き上げていく… 美里は両手・両足をバタつかせ、必死でどこかに、掴まりたいと空を探すが、それも虚しく、頭だけがエレベーターの上部へ出た。 赤いそれはミシミシと嫌な音をたて、凄い力で美里の頭を挟んでいく…
薄暗い中で美里は、目の前の赤いものに、昇太の最期の顔を見た…
その時、自分の目の中に赤いものが、サッっと流れ入ってくるのがわかった…