あしたなんていらないから?

あめの  2006-07-14投稿
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『……………は?』




わからない。
なんて言ったんだろ?





『ごめん、よく聞こえなかっ…』
『あした死んじゃうの。』
『…誰が?』
『あたしが。』
『なんで?』




泣いてるように笑う。


やだよ。


そんな笑顔。




『ほんとは昨日だったんだよ。』
『……………。』
『でも、延びたの。』
『……………。』




し、死ぬって………何言ってんのかわかんないよ。




『…ブン?』
『病気なの?』



おそるおそる聞いたら、ユキは笑った。



『ちがうよ。』
『じゃぁなんで!』



笑い話じゃないだろ!





『…………ずっとずっとずっと好きだったひとがいるの。』
『え…………』



好きなひといたんだ。



『でもね、明日結婚しちゃうんだって。』
『…………うん。』



ごめん。僕いまホッとした。




『あたしずっと好きだった。』
『うん。』

『彼もあたしのこと好きだった。』

『うん。』


ホッとしたけど、なんかつらかった。




『でもね、大人には何かを犠牲にしなきゃいけない時が来るんだって。』


笑ってうつむく。
泣きそうな声だ。




『いっぱい泣いたよ。』
『うん。』
『でもダメだったの。』
『うん。』
『だから、もういいやって。』



何がいいんだか。




『名前言うのためらったのはね、好きだったひとがあたしの名前好きって言ってくれたから。』
『うん。』


僕も好きだ。



『名前言ったら、泣いちゃうと思って。』
『うん。』



でも教えてくれた。



『だけど、ブンには教えてみたの。』
『うん。』


別に深い意味はないんだけどね。


とユキは笑った。




『あした、結婚式なんだって。』
『うん。』
『…………やだなぁ。』



ユキはチラッと涙をみせた。




『………でも、きっとあたし死ねない。』


なんで?



『ほんとはね、ブンと初めて会った日も死のうとおもってたんだよ。』

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