別に柔道を教えるのは嫌いじゃない。
それに、合間をぬって西門さんに稽古をつけてもらうこともできるからだ。
「お願いします!!」
見た感じ中学生くらいの子が乱取りの相手をしにきた。
「おぅ。来い。」
乱取りが始まる。
相手の子はなかなか組手争いがうまい。
気を抜けない。
相手が右袖を取りに来るのを払う。
その瞬間相手の右襟が空く。
ガッ!!
すかさず襟を取る。
組手が上手くてもまだ中学生だ。
力では修二に歯がたたず、だんだんと頭が下がってくる。
グッ!!
修二は相手を右手前のほうに引き落とす。
崩し(相手のバランスを崩すために押したり引き落としたりすること)だ。
相手のバランスが崩れる。すかさず左で相手の袖を取り、背負い投げ。
バァン!!
きれいにきまった。
そりゃ中学生には負けられないしな。
修二はそう思いながら立ち上がった。