あしたなんていらないから?

あめの  2006-07-14投稿
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『あしたなんてこれからいっぱいくるよ。』


彼女は全然わからないって顔をしている。


僕もわからない。



でも





『僕はあしたも遅刻する。』



そのあしたもそのまたあしたも。




『今日にするよ。あしたも今日にする。』




何言ってるんだろう。



日本語がなってない。




ユキは、わらっている。



笑うなよ!


叫ぼうとしたときだった。





『あいだふみやーーーーーーーッッッ!!!!!!』




担任の怒鳴り声がした。





気が付くと空はうっすら夕焼け色に染まっていて


グランドからは野球部の掛け声が聞こえる。




『…………また、お呼びだし?』
『みたいだね。』



今ここを離れたら、ユキは死んでしまうかも。



『はやくいかなきゃ。』


ユキが急かす。




僕はなにも言わずに立ち上がって、屋上のドアを開けた。


階段を降りようとしたら



人影が後ろにある。




『…ユキ?』



ユキは、昨日と同じように、泣きそうになりながら
でも笑って



『明日も来るの?』


と尋ねた。



僕は考えるふりをして、ゆっくり振り返って



『うん。来る。』



と答えた。




ユキは、クスクス笑って、先生に怒られちゃうよ。なんて言う。


僕は苦笑いをしてから階段を降りた。



そして僕からユキが見えなくなったところで、言った。









『俺もユキって名前好き。』










そのあとは、とにかく急いでしょくいんしつに行った。



顔が熱い。




ガラガラッッッと勢いよくドアを開ける。




先生!明日も遅刻です!





その日の担任の怒鳴り声は
300m先の駐輪所まで聞こえたらしい。

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