「嘘でした。すみませんでした!」
なーんて今さら言えるわけないよ。
かれこれ数年前のこと、僕の人生はウソに塗り固められていた。
このままではダメだと思い、今は正直者として暮らしている。
プルルルル・・・プルルルル・・・
「はいもしもし・・・」
「お前どうしたの?欠勤はマズイでしょ!?しかも連絡なしに。君、社会人だよね?」
「・・・ええ、あっあの〜・・・」
それは上司からの電話だった。僕は寝過ごしてしまったのだ。
(ヤバイ!言い訳考えないと、言い訳・・・)
「え〜っと部長、いま、実は事故ってしまいまして・・・車で・・・」
「えっ!そうなの?大丈夫か?」
「はい、大丈夫ですが、ちょっと会社に遅れる・・・いや、休むことになるかもしれません」
「わかった。また後で電話ちょうだい。」
数分後
「あっ、部長ですか?え〜ちょっと時間かかるみたいで(事故の処理とかで)今から行くのもあれですから今日は休みます・・・」
「わかった。有給でいいね?」
「はい、宜しくお願いします」
僕はほっと肩を撫で下ろし、電話を切ろうとした。が・・・
「あっそうそう、警察呼んだの?体は大丈夫?」
「はい、警察〜・・は呼びました。体は大丈夫です。明日は出勤できると思うので・・・」
「そうか。それはよかった。被害者側なの加害者側なの?」
「か、加害者になるのでしょうかね・・・(なんとなく)」
「そうかぁ。残念だったね。明日は気をつけて来いよ」
「はい。・・・すみませんでした」
この時はまだあんなことになるとはわかっていなかった。
続く