先輩は覚えているだろうか
去年の春 この街で見た桜を
この場所で言った言葉を
私は一つ上の先輩が大好きだった
優しく 賢く 包容力のある先輩に憧れた
先輩と付き合った3ヶ月は
幸せだった
けれども 大学受験をきっかけに 別れてしまった
別れてからもメールをしたり、話したり 何かと接する機会が多かった
だから、依存してたんだょね きっと
あの日、別の先輩の家に遊びに行ったのも 接点がほしかったから
夕方 黒いワンピースの私は寒くて
先輩とくっついて歩いてた
手を繋いでくれたのは先輩
嬉しかった
また、付き合えるんじゃないかって
見上げた空はオレンジ色で とても幸せな色に思えた
「ねぇ、先輩? 空 すごく綺麗ですよっ」
「ほんとだぁ…綺麗。こういう色の自転車 買おうかな」
「自転車?」
「大学で乗るやつ。でも男子には似合わないかな」
「そんなことなぃですよ!
私もこの色…好き」
「じゃあ、その自転車に2人で乗ろっか」
そんな会話をしていた
先輩は『桜が咲いたら、会いにくるよっ』って言って別れた
待ってたの
桜が咲くのを ずっと
蕾が大きくなるように、私の気持ちも大きくなった
先輩からメールが来た
アド変メール
女の子の名前と、LOVEの文字入りの
桜は咲かなかった
咲かないのに、はらはらと こぼれ落ちた
私と言う名の桜は
いつ 咲くのでしょう