〜プロローグ〜
今日も朝から点滴。点滴は嫌い。だって痛いから。
でも、おかーさん達に心配かけたくないから、いい子でいる。
でも、ね。
やっぱり退屈なんだ。もっと、もっと、外で遊びたい。
だから、君を見つけることが出来たんだと思うんだ。
退屈に飢えていたから。
まだ夏が始まる前だったと思うよ。君は誰かのお見舞いに来てたのかな?
わたしの病室のすぐ外を、とても嬉しそうに走ってた。
窓越しに映る君の笑顔が輝いて見えた。
羨ましかった。
だから、私も一緒に君の隣にいたかった。
一緒に、元気に、君と遊びたかった。
君は、いつも病院に来ていたね。
だから、いつも見てたんだ。君も気づいたのみたいで、話かけてくれたことが、あったね。
その時の約束を覚えてくれてたらいいな。
君のこと考えると、心の中にある風船が大きくなってくんだ。
それが、恋ってことに気づいたのは、もっと後になってから。
いつの間にか、君は来なくなって、わたしの日常が帰って来た。
だから、わたしは元気いっぱいな女の子になって、君に会いにいく。
そのことを目標に生きてきたんだよ。
“約束”の日まであとすこし。
君が“約束”を覚えてくれてたらいいな。
そんなことを考えながら入学前夜は更けていった。