私、井上梓姫(あずき)と親友の中川ミサで、
ファミレスことファミリーレストランに居る時だった。
「星とハート、どっちが好き?」
親友のミサは、携帯片手に、
ブログのアイコンを選んでいた。
「別に、どっちでも良くない?」
私は、適当に返事をした。
「どっちでも良くないっ!」
ミサはいきなり真面目な表情をした。
「えっ、いや、ごめんね。でも、たかが記号(アイコン)でしょ?」
ミサは、益々腹を立てたらしく
「たかが…っじゃない!」
レストランの客が一斉に振り返る。
「ああー、ごめん、ごめん」
この注目が耐えられなかった。
内心、静かにして欲しい。
それにこういう場面では大概、
言った本人ではなく
周りの人間が噂されるのだ。
「あれっ、中川と井上じゃん」
どこからか声がする。
「うわっ、先輩!!」
ミサは私の後ろに視線をやる。
振り返ると、
そこには金髪で背の高くいかにもギャル満開の男、高杉 雄輔と
黒髪で背は普通で、少し控えめオシャレな神谷 漣がいた。
2人は私達と同じ軽音楽部で
私達が高一、彼らが高二という
一つ違いな関係だ。