―放課後。
私達は、また部室へ向かった。
「マジありえねーし」
雷の様な声が耳を走る。
愛先輩だ。
隣にいるのは、舞先輩。
「よっ」
…高杉先輩だ。
ミサに視線をやる。
愛先輩がこっちを見ている。
「こんにちは」
私達は、深々と頭を下げた。
そして何も会話をしないようにと、
自分達のバンドの位置に着いた。
手には汗を掻いていた。
冷や汗だ。
「二人、ちょっと来な」
部室のドアを開けて、愛先輩が手招きしている。
相手は私とミサだ…。
「はいっ」
私達は部室を出る。
「あのさぁ、愛の雄輔に近寄んないでくんないかなぁ〜???」
「スミマセンッ」
深々と頭を下げる。
「おい愛ー」
高杉先輩の声だ。
愛先輩は、とっさに部室へ戻る。
「何かしたっけ?」
ミサが問いかける。
「さあ?」
私は首を傾げる。
二人は部室へと戻った。
「今日は顧問休みだってえ〜」
誰かが叫ぶ。
「よっしゃー!」
と、山本先輩。
「帰ろーぜ!撤収、撤収〜♪♪」
次々と部室から人が消えていく。
「私達も帰ろっか」
ミサは頷く。
―また、昨日と同じ夕暮れだ。
でも、昨日よりは部活が無かった為に明るい。
私はミサと別れた後、
個人的に小学校時代に遊んだ公園に寄った。
…誰かいる。
ベンチで同じ高校の男子が座っている。
目が悪くて、顔が見えない。
「あっ、井上じゃん」
この声、松本だぁ!!
私は小さくスキップしながら駆け寄った。
「何でこんな所に?」
「俺は…、懐かしみたかったからかな!」
笑顔もまたカッコイイ!
私は、男子とこんな近距離で話した事は、幼稚園以来なかった。