…あの時のタクは、
声も目つきも、柄も違っていた。
いきなり何?
この3日間、短い間だったけど、
少しワクワク出来たよ。
「告白」という努力によって生まれる種が
芽生え
花を咲かせた。
…と思ったけれど、
いきなりの雷雨で花は枯れ、
私はただただ、再生不可能な傷を負ったよ。
「梓姫、どうしたの?」
姉の真希だ。
「松本君とは、どうなったの?」
私はうつむいたまま。
「タクの事は、もういいんだ。騙されたから」
気分が出ないよ…。
あなたのせいで。
私はアナタを許しません。多分、一生。
―翌朝。
「はよ、梓姫♪」
いつも通り、松本が話しかけてきた。
私は本心のままに無視をし、彼に冷たくした。
「梓姫、どうしたの?」
ミサは私の顔を覗く。
私は親友に嘘はいけないと、
ミサに、昨日の一部始終を話した。
「うっわー、最悪じゃんよ、それ」
ミサは有り難い反応を返してくれた。
私とミサはその日、
ずっとタクを避けた。
「今日の部活で、スッキリしちゃってよ」
ミサは私に励ましの言葉をくれた。
私はミサの優しさに応えようと、
必死で明るく見せた。
…部活が終わると、
私はタクになるべく見つからないようにした。
また金を要求されるかもしれない恐怖がある。
「おい」
!!!
私は心臓の奥から、全身が震えた。
「俺だよ、神谷 漣」
私はため息をつくと、
振り返った。
目が少し、うつろになっている。
「どうしたんですか?」
「いや、ちょっとな」
さらに、目の下にはクマがある。
「ま、一年ならいっか」
先輩は何度か、髪を掻く行為を見せた。
ストレスか何かかな…?
「あそこで話すか」
少し先にある、ドラム缶を指した。