あしたなんていらないから?

あめの  2006-07-14投稿
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『初めて会った日も死のうとおもってたんだよ。』
『うん。』
『だけど、ブンがあしたも来てくれるっていうから、やめたの。』
『うん。』



ユキはずっと喋ってる。




『だけど、ブン毎日遅刻するんだもん。』
『うん。』
『明日は来ないだろうなって思ってたのに。』



ユキの声がふるえだす。




『ブンが遅刻しなければ、あたし死ねたのに。』
『うん。』




ごめんね。と言うべきなのだろうか。



僕は迷った。




『ブン、あした遅刻しないでね。』



ユキが泣きながらいう。



そんなに好きだったひとが結婚してしまうなんて。



そりゃ死にたくもなるさ。




『ユキは死にたいの?』



初めて名前をよんだ。


こんな質問で使うなんて。




『………わかんない。』



ユキは疲れきった声で呟く。



『あしたがこなければいいのにね。』



そう呟いて、また涙をチラッとみせた。





僕はいま



何をすればいいんだろう。






今日は昨日になって


明日は今日になって





『……………明日は今日になるんだよ。』
『…………え?』




ユキが顔をあげる。




『どんなにつらくても、嫌でも、明日はくるよ。』
『………わかってるよ。』
『でも、明日は今日になるんだよ。』
『………?』
『それで、今日が昨日になるんだ。』
『ブン。あたしわかんない。』



ユキは笑ってる。




『明日なんか来ないよ。』




僕が言ったらユキはキョトンとした顔をこちらに向けた。




『明日も昨日も、みんな今日になるから。』
『…………ブン?』
『おれ明日なんていらないから。』
『ブン泣かないで?』



泣いてない。涙が勝手に出てくるだけだ。




『明日も今日にするよ。』
『………結婚式は明日なんだよ。』


僕はにこりと笑ってみせた。





『明日はいつだってやってくる。』



屁理屈かもしれない。



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