僕らはみんな生きている。

麻呂  2009-05-06投稿
閲覧数[481] 良い投票[0] 悪い投票[0]


『ねぇ、みんなボクも仲間に入れて。』


今日もアイツはやって来た。



ボクたちの仲間に入りたいんだって。



バットもグローブも持っていないクセに。



『純平のヤツしつこいよな。毎日毎日、マジウザイわ。』



『アイツんち、ビンボーなんだろ?!父ちゃん死んで、母ちゃんしかいないから、バットもグローブも買ってもらえないって。』



『なら、野球やりたいって言うのはムリじゃね?!』



『まぁ、でも入れとけッ。ずっと球ひろいさせとけよ。

あと、帰りにカバン持ちさせよーぜ。』


最後に言葉を吐いたヤツ。



コイツの一声で、今日も純平の球ひろいが決定。



あと、カバン持ち。


純平がかわいそうだって思う。



でも、ボクにはどうするコトも出来ない。



ただかわいそうだって思う。



そんな風に思うコトで、自分はちょっとは良いヤツなんだって、



ムリヤリ自分に言い聞かせていた。



ホントはただの偽善者。



ボクはそんな自分が――



ずっと大嫌いだった――





『先生、純平君の隣は、もうイヤです。
クサイんです。

席替えしてください。』



こんなコト言うヤツも、



『こら、田中君。

高木純平君と仲良くしなさい。

どうしても耐えられないなら、マスクをしなさい。』



こんなコト言う先生も、



ボクは大嫌いだった。



もしもボクに勇気があったなら、



きっと純平君と仲良くなれるのに。



もしもボクに――





いつもキレイにボクを磨いてくれる純平君、ありがとう。



キミは、いつかきっと幸せになれる。



そんなの――



その澄んだヒトミを見れば分かるサ――




『純平、ちょっといらっしゃい。

母さんからのプレゼントよ。』



『なに?!お母さんプレゼントって?!』



ほらっ、今ここにまずひとつ――



『グローブだぁ!!
ありがとう!!

お母さん!!』



そう――



イイヤツが幸せにならないでどうするのって話サ。



高木 純平 小学校1年生。



これからもっとデカイヤツになると思うヨ!!



ボクが保証する!!


頑張れヨ!!





泥まみれのボールより☆

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 麻呂 」さんの小説

もっと見る

その他の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ