…あれから一週間後。
「私、今日松本に呼び出されてるんだ」
もちろん理由は詐欺。
あの後、松本は釈放されたらしい。
私はまたあの、暗い路上へと進んだ。
そこには松本が立っていた。
「お金の事なんだけど」
私はその場で土下座をした。
「土下座するな。俺が悪いんだ」
顔を上げると、前とは違って、優しい松本が立っていた。
「また…、1日だけだったけど、タクって呼んでくれる?」
「うん。でも、どうしたの?」
タクは私に背を向けると、歩き出した。
私もタクに背を向けて歩いた。