「…皆さん、着きましたよ。シートベルトを外して下さい」
ガイドさんの声で、目が覚めた。
私はバスを降り、自分の荷物を持ってロビーに置いた。
「梓姫、部屋行こ♪」
「あ、うん」
ミサだ。私を放って置きながら、平然と話しかける。
室長の愛先輩が、部屋の鍵を開けた。
部屋は四人の布団を敷いてやっとの、狭い和室になっていた。
「ねぇ、携帯持って来た?メアド教えてくんない?」
「はい!」
愛先輩はピンクの携帯を取り出した。
メアドを交換し合うと、ミサは私の手を引っ張った。
「何で気づかなかったんだろ♪」
「え?」
「高杉先輩にメアド教えてもらうの☆」
ミサは携帯片手に、315号室へ向かった。
「…着いたぁ☆」
ミサはドアノブに手をかけ、強引に開けた。
「失礼しま〜す…」
返答が無かったので、靴を脱いで中に入った。
するといきなりフワフワした感覚に捕らわれた。
そこには、それぞれ一人ずつ知らない女の人と愛し合っている姿があった。
「あ、あれ…」
テーブルの上に、薬物が一つ置いてあった。
「先生呼ぼう!」
私はミサを引っ張って、ロビーで会議をしている先生の方に向かった。
「先生、315号室で…先輩達が…」
「大麻を吸っていたんです」
ミサが焦る私の代弁をした。
「大麻!?」
教師一同、315号室へ駆けつけた。
「本当だ。おい、お前ら何があった!?」
丸山の声も届かず、狂った様にいきなり笑い出したり、涙を流したりしている。
「あの女子は、2Dの生徒だな」
話し合いの結果、数時間後にまた様子を見る事にした。
ミサはフラついている。
憧れの先輩に対する失望だと、すぐに分かった。