酔いが覚めて目を開いた時には、六時半だった。
「おっ、目ぇ覚めた?」
私は慌てて飛び起きた。
「早く部屋帰れチクリ」
そうだ。高杉先輩達は私の事、許してないんだ…
私は部屋に着くと、異様な空気に包まれていた。
「梓姫、どこ行ってたの?」
ミサが腹を立てながら言った。
私は急いで支度をした。
「今日は朝からMORNINGLIVEだからねっ」
愛先輩は気合い充分な顔つきで言う。
…朝食を済ませて、小ホールに集まった。
ミサは宮島さんと一緒にいる。
どんどんバンドが奏で終わる。
順番が迫った為、裏で準備をした。
「雄輔の次なんて、やっぱり運命的ぃ♪」
と、愛先輩。
しかし、高杉先輩達のバンドは、見事に音がバラバラだった。
特にサビという大トリが、皆違うリズム。
…私達の番になり、それぞれ位置につく。
愛先輩が歌いだす。
「ミサ!!」
構えたとたん、ミサは倒れた。
辺りはざわついた。
…保健室では、ミサ一人が横たわっていた。
「ミサ、大丈夫?」
「原因、分からないって」
私はミサの顔を見る。
「でもね、やっぱり親友は梓姫だよ。梓姫以外、誰も見舞いに来ない…」
確かに、宮島さんの姿はなかった。
私は微笑んだ。
「許してくれる?」
ミサは頷いてくれた。
ありがとう、ミサ。
心の中で言った。
昼食の時も、ミサと一緒に行動した。
ミサは前みたいに笑っている。
「あっ、ミサさ、人参ダメなんだよね〜」
勝手に私の皿に入れる。
やっぱり楽しいな、ミサといると。
夕方のライブは、どのバンドも上手くいった。
私はミサと、明日着る洋服の準備をした。
「愛の部屋も見てってぇ〜??」
愛先輩の声が、ドアの向こうから聞こえる。
「分かった、分かった。しつけぇなあ」
ドアが開く。
高杉先輩だ…。
「お前らも居んのかよ」
私とミサは、視線を逸らした。
ミサは私の手を強く握った。
悔しさと自分の哀れさが伝わってくる。
…高杉先輩が部屋から出ると、ミサは着替え用のパジャマを持って、部屋を出た。
私もミサの後を追った。