「花火班に集まって下さい」
司会者が説明を始める。
「暗くなるので迷わないように」
…説明が終わると、ミサと私は場所取りをした。
場所は、河原の近く。
よくあるパターン。
ミサは高杉先輩を探すと言って、私は一人残された。
…ドーン!
一発目の花火が打ち上げられた。
「あ、お前さっきの!」
私は後ろを振り返る。
さっきBBQで、私の肉を取った人だ。
髪はクセ毛で、黒い髪をしている。
「俺、1Bの大倉!お前は?」
「1C井上」
私はまた視線を花火に戻した。
「なぁ、あの花火、お前に似てんだけど!」
大倉は小さな花火を指差した。
「はぁ?!アタシ、そんなにチビじゃないもん」
高校生にもなって、こんな子供みたいな人も居るんだな。
「チービ、チービ」
私は冗談半分でと追いかけた。
花火の音と草を踏む音が混じる。
私は大倉を捕まえ、雑草を投げた。
今度は大倉が私を追いかける。
そんなくだらない事をしているうちに、ミサが帰って来た。
「あっ、ミサ!」
「まさかアンタ、大倉相手に本気になってる?」
ミサは吹き出すのを堪えている。
「知ってるの?」
「ムードメーカーよ」
ミサは爆笑した。
思い出し笑い?
ミサは「また探してくる」と言って、走った。
「…なんか、お前他の女子と違うよな!良かったらメアド交換しよーぜ」
それはこちらのセリフだと思いながら、携帯を出した。
…私達は、いつの間にか親友の仲になった。
「お前、何してんだよ」
ふと、聞き覚えのある声がよぎる。
「誰だよ、今から大トリなの…」
大倉の声が消えた。
「どうしたの?」
大倉の視線を辿る。
「…………神谷先輩…」
「どうしてここに?」
なぜか息切れしている。
「来い」
強い力で引っ張られた。
「ちょっ、井上!?」
大倉は私を見ていた。
…無言のまま、どんどん生徒達から離れていく。