[影の一人]「―――」
小娘が消えた。
と、同時に影の一人は声を発する暇もなく後方へと吹き飛んでいった。弾丸をも弾くアーマーは布のようにズタズタに斬り裂かれ、影と一緒に舞い散っていく。
そして、立ち代わるように。今度は左肩の鞘に刀を納めた、蕾がそこにあった。
あまりの唐突な出来事に影達は反応に遅れてしまった。
だが、それも一瞬。
怯(ひる)んでいる場合ではない。包囲が崩れた穴へすぐに銃口を向けると集中砲火を浴びせる。
しかし、それもまた一瞬。
弾雨(だんう)飛び交うその先。影達は確かに見た。どの刃よりも鋭き眼光を。そしてそのモノが成す業(わざ)を。
疑問は確信へと変わった。
…続きます