HAGランゲージ プロローグ
で、出来た・・出来たぞ・・・・
雉宮攸一(きじみやゆういち)は歓喜の中にいた。
この三年近く、攸一はこの術のための修行で自分の力を何回も練り直した。
あるときは一族の基本的な修行場である巫幻の洞窟で、
あるいは冥界への入口とされる迷幻の森で、
あるいは無事に生きて帰る者がほぼ皆無とされる不入(はいらず)の山で修行を重ねて来た。
どれだけ趣味を押さえただろうか、
どれだけ家族や友人とのひと時を削っただろうか、
どれだけ死ぬ目にあっただろうか、もはや自分では分からなくなっていた。
攸一にはある目的があった。
正確には願いと言った方がいいだろう。
それを叶える条件として、一族の長である父親にこの術を完成させることが課せられた。
確かに犠牲は多かったが、攸一はそれを苦であるとは思わなかった。
全ては願いを叶えるためだった。
それが今、この瞬間を以て多々の犠牲は願いを叶えるための通行許可証になった。
願いを叶えるその前に、攸一はこう思っていた。
寝たい……
緊張から解き放たれた攸一はそれ以外何も考えられなかった。
プロローグ 完
[236] 
[0] 
[0]
