「レック…。」
俺はアルビノの本名よりも俺を気絶させた理由のが気になった。一番まともそうな輝に聞こうと思ったが聞けなかった。
―幸が泣いていた。俺はそのあまりにも綺麗すぎる泣き顔に言葉が出なかった。あの旋律を思いだす。強くて、綺麗で、悲しい旋律。
輝は幸をなだめるかのように側にいた。その時輝の携帯が鳴った。
―あの音!!
「おい!輝!その音っ!」
「シオン―これがその曲名デス。」
「レック?お前もこの曲を知ってるのか!?」
「えぇ。でも…いえ。」
「続きが気になるだろ!」
思わずツッコンでしまった。
「その曲は…嫌い。」幸が小さく呟いた。
「その曲は私の記憶に呼びかける。私の失った記憶に…。きっと私は思い出したくないんだ。あの時もこの音が鳴っていたんだもの。思い出したくない!」
頭を綺麗で女らしい手で抱える。
「あの時―?」
「知りたいの?」
また声がする。
この声は―!
「知りたい。俺は…これは大事なカギの一つな気がする。教えろ、鏡の妖精!」
「いいわ。勘も大事なものだもの。」
次に俺は鏡の中に吸い込まれていった。
―聴こえる。
あの旋律が。
シオンが。
「君は誰だい?」