ギャラクシーラリー70

フェイ  2009-05-10投稿
閲覧数[411] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「それは…」美穂は言葉を選んで慎重に言った。

「科学も、宗教も、哲学も武道も、文学も…とにかくどんな事でも究極の形は同じだ、って事かな」

伝わるかな。美穂は心配になってきた。遼一さんの持論が曲解されなきゃいいけど…。

「ふうん…持論っていわれた?」

「ええと…。うん。これは、あくまで私見だと、前置きされたと思う」

「なるほど…。その究極の形は教えてもらった?」

「うん。答えはもらった」

「当ててみせようか…」チラリと遼一を見てシンジが言った。

「分かる?」美穂は、自分が考えた訳でもないのに、なぜか得意気に聞いた。自分でもよくわからなかったが…。なぜか誇らしかった。
「愛…だろう?いや、宇宙と融合…かな」シンジが言った。

美穂は心底驚いた。開いた口が塞がらない。その口に手を当てて言った。

「何で分かるのよ…。遼一さん…宇宙との一体化だって…。コレは誰でも皆、考える事なの?」

「いやぁ…。たぶんあまりそこまで考える人はいないと思うよ。何の役にも立たないから。腹が減るだけだよ。ただエセ霊能者や三流宗教家や学校の先生には、辿り着けない境地だね」シンジが笑った。

「愛かぁ…。宇宙との一体化は愛なの?」

「真理かな…。簡単に言えば…真実は一つ、かな」

「それなら分かる!」美穂は、少年探偵が活躍するマンガを連想した。オタク回路始動である。

「シンジ君、戦闘力がある方の兄さん、女の子好き?」遼一が思考から現実に戻って聞いた。

「そりゃ男ですから…」

「義侠心は強い?」

「ええ。正義感は特に」

その時、全員の携帯が鳴った。メールだ。ギャラクシーラリーからだった。

<最初のゴール地点はFタワー>

遼一とシンジは同時に思考を始めた。

シンジは直ぐに計算が終わり、遼一を待った。

「シンジ君…。兄さん達、二人に伝えてくれないか…。特に発想力のある方に。暴走族と走り屋の両方に、ここの峠が心霊スポットなのは金持ちのせいだって、デマを流して欲しい…」
遼一が言った。

「なるほど…。心霊スポットを使う手があったか!大丈夫。ヒカル兄は、話術がスゴく上手いんです」

「問題はストレスがピークに達した時に、一線を越える決定打だな。しかも、それが戦闘力がある方を刺激すれば尚良し」

「きっかけを仕掛けるんですね。目立たないようにやらないと…」

「二人とも、一体…何者?」美穂は真剣に訊いた。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 フェイ 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ