奈央と出会えたから。<357>

麻呂  2009-05-12投稿
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『北岡っっ!!校長の話をちゃんと聞いているのかっっ?!
返事くらいしなさいっっ!!』



そんな中、渋川は相変わらず、どんどん1人で熱くなっていた。



『まぁ、渋川君。

ここは、そう熱くならずに。

森宮さんには校長室の方へ来て頂いて、ここから先の話は、そこでゆっくりとお話しましょう。』



渋川が熱くなる事で、冷静さを取り戻した校長がそう言うと、



森宮の父親は、何故かそれを拒否した。


『校長先生、その必要はないですよ。

私としましては、ここ、職員室で、他の先生方の見ている前でお話したって何ら構いません。

今回の件につきましては、子供同士の問題です。

うちのヒロキも、北岡君に一言謝ってもらえれば、それでいいと言っておりますし、私もヒロキと同じ考えです。』



森宮の父親の、あまりにも意外な聞き分けの良い言葉に、あたしは驚いた。



だって、こうしてわざわざ親子揃って、うちの学校に出向いて来るくらいなのだから、



そんな簡単にコトが済むなんて思ってもいなかったから。



ケド、聖人に、森宮に対して謝罪させるというのは、あたしは腑に落ちなかった。



だって、聖人は、あたしをかばってくれたのだから。



ここで聖人が謝ったら、



あたしのせいで聖人を悪者にしてしまう。



『ヘッ、誰が謝るかよッ。

停学でも退学でも勝手にしやがれッ。

俺は受けて立つゼ。』



聖人の強気な発言にショックを受けたのか、



渋川は金魚みたいに口をパクパクさせ、体をぷるぷる震わせていた。



ダメっっ!!



もう、これ以上はダメっっ!!



聖人が悪者になっちゃうよっっ!!





『待ってください!!聖人は悪くないんですっっ!!』



そう思った瞬間、



あたしは叫んでいた。



そして、



みんな一斉にあたしに注目した。



う゛ぅ‥‥‥。



言っちゃったぁ‥‥‥‥。



し‥視線が痛いっっ‥‥‥‥。



ドキドキドキドキ――



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