『北岡っっ!!校長の話をちゃんと聞いているのかっっ?!
返事くらいしなさいっっ!!』
そんな中、渋川は相変わらず、どんどん1人で熱くなっていた。
『まぁ、渋川君。
ここは、そう熱くならずに。
森宮さんには校長室の方へ来て頂いて、ここから先の話は、そこでゆっくりとお話しましょう。』
渋川が熱くなる事で、冷静さを取り戻した校長がそう言うと、
森宮の父親は、何故かそれを拒否した。
『校長先生、その必要はないですよ。
私としましては、ここ、職員室で、他の先生方の見ている前でお話したって何ら構いません。
今回の件につきましては、子供同士の問題です。
うちのヒロキも、北岡君に一言謝ってもらえれば、それでいいと言っておりますし、私もヒロキと同じ考えです。』
森宮の父親の、あまりにも意外な聞き分けの良い言葉に、あたしは驚いた。
だって、こうしてわざわざ親子揃って、うちの学校に出向いて来るくらいなのだから、
そんな簡単にコトが済むなんて思ってもいなかったから。
ケド、聖人に、森宮に対して謝罪させるというのは、あたしは腑に落ちなかった。
だって、聖人は、あたしをかばってくれたのだから。
ここで聖人が謝ったら、
あたしのせいで聖人を悪者にしてしまう。
『ヘッ、誰が謝るかよッ。
停学でも退学でも勝手にしやがれッ。
俺は受けて立つゼ。』
聖人の強気な発言にショックを受けたのか、
渋川は金魚みたいに口をパクパクさせ、体をぷるぷる震わせていた。
ダメっっ!!
もう、これ以上はダメっっ!!
聖人が悪者になっちゃうよっっ!!
『待ってください!!聖人は悪くないんですっっ!!』
そう思った瞬間、
あたしは叫んでいた。
そして、
みんな一斉にあたしに注目した。
う゛ぅ‥‥‥。
言っちゃったぁ‥‥‥‥。
し‥視線が痛いっっ‥‥‥‥。
ドキドキドキドキ――