奈央と出会えたから。<358>

麻呂  2009-05-13投稿
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『なっ‥‥何だね、木下っっ!!

お前は、いつからここにいたんだ?!

北岡の肩を持つとは、どういう事だ?!
お前が北岡と付き合っている事は、ここにいる皆が知っている。

それを承知の上で、お前は北岡をかばうのだから、それは正当な理由があっての事なのだろうな?!』



渋川の、銀縁の眼鏡ごしに、細い視線がキラリと光った。



校長は、ハラハラした目であたしを見つめ、



森宮の父親は、冷たい目で冷静に見ている。



そして、



森宮 ヒロキは、その横で、ニヤリと含み笑いをしていた。


渋川の問い掛けに、


あたしは“もちろんです。”って、



そう答えるつもりだった――



なのに――





『――俺、謝ります。』



聖人が、あたしより先にそう言ったんだ――



そして、



聖人は次に、森宮に視線を向けた。



『森宮‥‥あのトキ殴ったコト――』



待って!!



聖人は悪くないよっっ!!



謝らせないっっ!!




『あたしをかばってくれたんですっっ!!』



聖人に謝らせるもんかっっ!!



その一心で叫んだ、あたしの声が、



聖人の声をさえぎってしまった――





『‥‥は‥‥は‥は‥‥‥。

これは一体どういう事ですか?!

校長先生に、渋川先生?!』



森宮の父親は、怒りで声が上擦っていた。



『し‥‥渋川君!!
な、何という事だね?!

君の受け持ちの生徒は2人とも!!

どういう教育の仕方をしているんだ君は?!』



校長がオロオロしながら渋川に言った。


『き、き、き、木下っっ!!

お前は一体どういうつもりだ?!

せっかく、この天邪鬼の北岡が今、謝ろうとしていたのに、邪魔しおって!!

ちゃんと説明しなさい!!』



ぷるぷる体を震わせている渋川に対して、



あたしの心は冷静だった。



聖人は、あたしの方を心配そうに見てたケド、



あたしは決心していた。



腐った大人は、



これ以上腐りようがないケド、



腐った大人に、



綺麗な心を腐らされる前に、



あたしは真実を語る――



もはや腐りかけ始めているソイツ――



森宮 ヒロキの為にもね――



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