奈央と出会えたから。<359>

麻呂  2009-05-13投稿
閲覧数[473] 良い投票[0] 悪い投票[0]


『あたし、小6で子供を堕胎したんです。』



シ―――――ンーー‐‐



言った瞬間――



職員室内の空気が静まり返るのを感じた。



『相手は、あたしの義理の父親です。

小6で堕胎したコトで、自責の念に押し潰され、あたしは心を壊してしまいました。

それは、あたしの心の中で今も、ずっとずっと滞っています。

ケド、そんなあたしを、聖人はいつも優しく見守ってくれていました。

あたしの心も、少しずつではありますが、落ち着きを取り戻しつつあります。

先日、そのコトで、森宮君から屈辱的な、言葉を受けたトキ、あたしをかばってくれた聖人が、森宮君を殴ってしまったんです。』



『う‥うちのヒロキが、あなたが堕胎したという事実について、屈辱的なからかい方をした‥‥と?!』



森宮の父親が、あたしの目をまっすぐ見据えて言った。



『はい。ですから、聖人は、あたしの為に、森宮君を殴ってしまったんです。

今回についての処分は、あたしが受けますので、どうか聖人の事は許してください。

お願いします。』





あたしは、森宮の父親に、深々と頭を下げた。



正直辛かった――



過去のコト――



過去の辛かったコトを思い出しながら語るのは――



辛かった――



出来れば思い出したくない――



封印してしまいたい出来事だから――



そのトキだった――


頭を下げていたあたしは、



急に息苦しさを感じた――



それは、



半年前にも感じたコトのある感覚――





『‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥く‥‥苦しっ‥‥‥‥‥。』



あたしは思わず、その場しにしゃがみ込んでしまった。



『奈央!!』



聖人が直ぐに駆け寄って、あたしを抱きかかえてくれた。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 麻呂 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ