祭りの賑やかな裏で理沙と中野と久遠はそれぞれに悩んでいた。
「中野?」
理沙の連れが、中野だとわかると久遠の顔色が変わった。
また、中野も久遠の登場に驚く。
「久遠、理沙になんかしたのか?」
「理沙?瑞木じゃねぇのか」
「…うるさい」
「二人ともやめて」
理沙が止めるも二人とも、もはや聞いていない。
「お前相手が違うだろ?」
「…お前に関係ない」
「大有りなんだよ」
と、久遠は中野の胸ぐらをつかんだ。
「やめてってば」
理沙が間に入って、久遠は中野を離した。
「行こう」
そう言って理沙は、中野を連れて本部席に戻った。
本部席には、千夏と桜の姿が見えた。
「おかえり」
千夏はいつもの笑顔で迎え入れてくれた。
中野はまだ不機嫌そう。
「桜まで?樋口君は?」
「もうくるよ」
するとカキ氷を持って大倉と樋口君が本部席に帰ってきた。
「ありがとう〜」
喜んでいる千夏と桜の姿に理沙は少し安堵した。
すると花火が上がった。
本部席からは真っ正面に。
あまりの美しさに一瞬静まり返り、祭りのBGMだけが密かに流れた。
伝説はどうかわからないがみんなでみた花火は特別な夏の思い出になった。